心的外傷

歳月が流れても、風化しない記憶がある。
何気ない日常の中で、ふとした瞬間に蘇る。
あの言葉が、あの視線が、あの空気が……。

夢の中でさえ、逃れることはできない。
何度も繰り返される、望まない悪夢。
目を覚ましても、胸の奥がざわついて、息が詰まる。

心の奥深くに封印したいのに、植え付けられたトラウマは消えない。
「もう大丈夫」と自分に言い聞かせても、
一歩踏み出そうとするたびに、あの忌まわしい記憶が立ちはだかる。

いじめ……。
それは、人の歩みを止める。
不登校を呼び、時間を奪い、心を閉ざし、
生きる希望を少しずつ削っていく。
やがては、自ら命を絶つという選択へと追い込むことさえある。

いじめは、「ちっぽけなもの」ではない。
いじめは、「通過点」でも、「成長の一部」でもない。
いじめは、れっきとした暴力であり、罪だ。

加害者も、観衆も、傍観者も……
きっともう覚えてはいないのだろう。
いつ、どこで、誰が、どんな言葉を投げつけたのか。
今ごろは、何事もなかったかのように笑い、
穏やかな日常を送っているのかもしれない。

だが、被害者にとっては違う。
あの日の出来事は、今もなお鮮明に脳裏に焼き付いている。
それはただの「過去」ではなく、今も続く「現実」なのだ。

人生の歯車を狂わせ、自己肯定感を奪い、
生きる意味さえ見失わせるほどの、深くて重い現実。

心に刻まれた傷は、生涯、完全には癒えることがない。
誰にも見えないその痛みは、
時を経てもなお、静かに、そして確実に苦しめ続ける。

被害の重さ、痛みの深さ、
そして――いじめが決して「過去」や「軽いもの」ではないことを、
私たちは、決して忘れてはならない。

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